分子薬理学・細胞外マトリックス医学
私たちの体の多くの部分には弾性があり、伸び縮みすることができます。特に肺や動脈、皮膚といった組織は伸び縮みすることがその機能に重要です。加齢によって伸縮性が低下することが肺気腫、動脈中膜の硬化、皮膚のたるみなどの原因となります。つまり伸縮性が失われることは個体老化の本質的な要素のひとつであるといえます。
組織の伸縮性を担っているのは、弾性線維という細胞外マトリックスです。弾性線維はエラスチンというタンパク質が線維状に並び互いにクロスリンクされることでできており、ゴムのように伸び縮みする性質を発揮します。私たちは弾性線維の組み立てに必須の分子を発見し、それらの分子がどのようにして弾性線維を形成するのかを明らかにしてきました。さらに最近ではそれらの分子を組み合わせることにより弾性線維の再生にも取り組んでいます。
教育目標
分子生物学・細胞生物学的手法、遺伝子改変動物の作成と使用について精通し、疾患を分子レベルで考察できる
医師、自ら研究を立案・遂行できる医学研究者の育成を目指す。
到達目標
- DNA、RNA、タンパク質を用いた分子生物学的手技を習得する。
- ヒトやマウスの培養細胞を用いた細胞生物学的手技を習得する。
- 遺伝子改変マウスの作成・維持・解析についての方法論を習得する。
- 研究課題遂行に必要な実験方法が載っている文献を見つけ出して再現できる。
- 意味のある結果が出せるような実験計画を立て、データを正しく解析・解釈できる。
- 研究内容を適切にプレゼンテーションできる。
- 研究内容を英語で論文にすることができる。
主な研究課題
- 弾性線維の形成と再生の分子機構
- 糖鎖(ケラタン硫酸)の生体内における役割
- 大動脈疾患、呼吸器疾患、眼疾患、皮膚疾患における細胞外マトリックスの役割
- 心臓発生の分子機構
- 概日リズムと癌
現在の研究テーマ
研究業績