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学部・大学院

行動医学

AIをはじめとする科学技術の進展や医学・医療の急速な発展により、病気の解明、治療、予防は大きく進歩しています。その一方で、「人が人を見る(診る・看る)」という医療人としての本質が改めて問われています。

行動医学教室は、「善き医療人」の育成を使命として、旧心理学教室を前身に2025年に設置されました。行動医学は、「健康と疾病に関する心理社会学的・行動科学的・医学生物学的知見と技術を総合的に集積し、それらを病因解明、疾病予防、診断、治療、リハビリテーションに応用することを目的とする学際的学問」です(国際行動医学会憲章、1990)。

本教室では、患者さんの多様な背景(身体的症状、社会環境、心理状況など)を総合的に捉え、病とともに生きる人々を全人的に理解し、支える「善き医療人」に必要な深い洞察力と豊かな人間性の涵養に力を入れています。学生が「行動科学・行動医学」の視点を学び、医療人として不可欠な患者中心のケアを実践的に学べるよう教育活動を行っています。こうした教育を通じて、本学の教育理念である「高い専門知識・技術」と「豊かな人間性」を両輪として支える教育の一翼を担っています。

さらに研究面においても、死生心理学や医療倫理をはじめとする国際的に重要なテーマに取り組み、行動医学の新たな地平を切り拓くことを目指しています。

現在の研究テーマ

多様な生と死について考える

行動医学教室では、医学や医療が進歩しても避けられない「死」の問題に学際的・国際的に取り組んでいます。死生心理学(Death and Life Studies)を基盤とし、国内外の研究者との共同研究を通じて、従来十分に扱われてこなかった課題に挑戦しています。

1.ライフサイクルにおける死の再考 

高齢化、自然災害の多発、世界情勢の不安定化などにより、現代社会では「死」がかつてないほど私たちにとって身近な存在となっています。予期せず自身や大切な人の死と向き合う時代において、ライフサイクルのあらゆる段階での死生の問題を整理・分析し、人々のQuality of Life(QOL)の向上を支える新たな理論的枠組みを構築するため、国際的な比較研究や共同研究を進めています。

2.生死を巡る倫理 

医療現場では、しばしば生死に関わる選択を迫られる状況に直面します。生殖医療や終末期医療などの選択肢が多様化する一方で、短時間のうちに決定を行わなければならない場面も珍しくありません。現代の医療倫理では「自己決定」や「自由意思」が重要な判断基準となっています。日進月歩を続ける医療現場において、倫理的な判断力と患者の選択を支える力がますます重要になっています。
当教室では、こうした倫理的判断基準の多様性やその根拠を探究し、さらに倫理的選択が患者や家族に与える心理的葛藤や医療従事者のケアについて国際共同研究を展開し、新たな学際的知見を発信していきます。

3.医療従者養成における死生学教育

医療者や医学生に対する死生学教育の必要性が指摘される一方で、教授法や教育効果の測定などの課題も残されています。死生学は学際的な学問であり、人文学(文学、哲学、倫理学、心理学など)や自然科学(医学、生物学など)、さらに芸術や美学の視点からも死を捉える学問です。生老病死の中で、人生の喜びと苦しみを抱える患者さんを支える医療従事者にとって、生と死について自らの考えや臨床経験を振り返り、整理する学問的枠組みは「善き医療人」の礎となります。死生観は個人の経験や体験により変化しますが、まずは学際的に死を捉え、自らの死生観を問い続ける力を養う教育についても研究を進めています。

連絡先

〒573-1010 枚方市新町二丁目5番1号
関西医科大学 行動医学教室
電話 072-804-2418(内線2270)

関連

医学部 心理学教室
大学院医学研究科 医学専攻 医療行動科学

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