整形外科学
整形外科学講座では脊髄,末梢神経,骨,軟骨,関節,靭帯,腱など運動器にかかわる様々な組織における基礎・臨床研究に取り組んでいます。
現在の研究テーマ
[1]主な研究テーマ
(1)臨床研究
①神経磁場計測装置を用いた脊髄・末梢神経疾患の診断(脊椎外科・手外科)
②術中神経モニタリング(脊椎外科)
超音波処理を用いたインプラント周囲感染、骨軟部組織におけるバイオフィルム内細菌の新規検出手法の検討と診断基準の構築(培養法、定量 PCR、次世代シーケンスなど)(整形外科全領域)
④次世代シーケンサーを用いた細菌培養検出方法(整形外科全領域)
⑤人工膝関節置換術後の歩行解析
⑥健康寿命への取り組み(脊椎・股関節外科)
(2)基礎研究
①骨髄細胞を用いた組織再生(靭帯、椎間板、骨)
②疾患モデルマウスを用いた自己免疫疾患の解明
③強度とスクリュー固定性の評価
④インプラント周囲感染および骨軟部組織感染症における新規遺伝子検査法の開発
⑤次世代シーケンサーによる、整形外科疾患における病態と細菌叢の関連
⑥整形外科遺伝子検査のための遺伝子抽出手法の検討
[2]重要テーマの解説
*神経磁場計測*
従来、脊髄や末梢神経の機能的評価として体表からの誘発電位の計測が一般的でした。しかしながら、神経の電気刺激を行った際に末梢神経や脊髄から発生する誘発電位は神経組織が体内の深部に存在していたり、骨組織に囲まれている場合には体表から誘発電位を記録することは困難でした。近年超伝導を応用した高感度磁気センサーを使って、誘発電位の周囲に発生する微弱な磁場を可視化することができる神経磁場計測装置(神経磁計)が、金沢工業大学と横河電気が開発されました。
現在臨床で用いられているMRIでは画像所見と神経症状が一致しないこともあります。この神経磁計は、無侵襲で脊髄・末梢神経の障害部位の確認ができる可能性がある画期的な取り組みです。令和2年12月に齋藤貴徳主任教授と株式会社リコー、東京医科歯科大学との共同研究で神経磁計の研究施設が本学内に建設され臨床応用に向けて現在研究を行っております。
*術中脊髄モニタリングシステムの開発*
脊椎脊髄手術をより安全に行うために術中脊髄モニタリングは有用な手術支援手段です.しかし,一般に使用されて いる術中脊髄モニタリングシステムでは,麻酔の影響や長時間の手術により波形が取れにくくなることもあり,さらに改善していく必要があります.当講座では他施設に先駆けて術中脊髄モニタリングシステムをとりいれ,経頭蓋電気刺激誘発電位 (運動系モニタリング)と体性感覚誘発電位(感覚系モニタリング)を組み合わせて術中脊髄モニタリングを行っています.今後,豊富な臨床手術症例から,さらに精度が高い術中モニタリングシステムを構築する研究を行っていきます。
*整形外科および全診療科への適応を目的としたインプラントおよび骨軟部組織検体による新規細菌同定法および薬剤耐性細菌迅速検出法の研究*
骨髄炎、化膿性椎間板炎や化膿性関節炎、さらに人工関節置換術後のインプラント感染など細菌感染対策は重要なテーマです。「次世代シーケンサー」は、従来の PCRやキャピラリーシーケンサーでは実現できなかった複数細菌の検出と細菌叢を明らかにすることができます。我々の臨床・基礎研究は、従来 PCRや培養法と比較検討しつつ、世界規模の国際的なガイドラインにどのように PCRや次世代シーケンスを加えていくかといった臨床的検証を行いつつ、新規遺伝子検査が精度良く、短時間かつ低コストでおこなえるような遺伝子検査のベースとなる分野の検討、薬剤耐性菌を標的とした更なる迅速化(10分以内の遺伝子検査を目標)を目ざした新規 PCRプライマー (LAMP法)の開発と研究を行います。
我々の臨床・基礎研究は、従来 PCRや培養法と比較検討しつつ、世界規模の国際的なガイドラインにどのように PCRや次世代シーケンスを加えていくかといった臨床的検証を行いつつ、新規遺伝子検査が精度良く、短時間かつ低コストでおこなえるような遺伝子検査のベースとなる分野の検討、薬剤耐性菌を標的とした更なる迅速化(10分以内の遺伝子検査を目標)を目ざした新規 PCRプライマー (LAMP法)の開発と研究を行います。
研究業績