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学部・大学院

脳神経外科学

脳神経外科学講座は1966年開講の伝統ある講座です。2024年4月より私(埜中)が担当させていただきます。脳神経外科は脳腫瘍、脳血管障害(脳卒中など)、神経系の先天異常、頭部外傷、背髄疾患、てんかんなどを診断、治療、研究する科です。当講座では脳神経外科領域の臨床、研究、教育、とりわけハイレベルの手術教育に力を入れています。実際の手術室ではもちろんのこと、電子カルテに連動する形で保管されている動画や、術前の3D画像による手術シミュレーションによる手術指導にも重点をおいています。この領域の指導者になれるような人材の育成を目指しています。研究は臨床の問題点に根差した研究に重点をおいています。今後、脳神経外科領域の難病(膠芽腫、転移性脳腫瘍、二分脊椎症、脳形成障害)に対するトランスレーショナルリサーチを推進していく予定です。そこから派生してくる基礎研究も奨励します。

現在の研究テーマ

膠芽腫に対する免疫治療の開発

がん治療において近年、免疫治療の有効性が証明されています。従来脳は脳血液関門が存在し、免疫特権(immune privilege)な臓器と考えられてきました。一方で脳腫瘍患者の血液中には腫瘍抗原特異的なT細胞が存在し、腫瘍内にもリンパ球の浸潤が認められます。これまでに腫瘍のライセートを用いた樹状細胞療法を行い一定の効果を得ました。しかし、抗原枯渇のため持続的な治療継続が困難なことやがん幹細胞への特異性が低いという問題があります。グリオーマは腫瘍微小環境において強い免疫抑制機構を有しており、有効な免疫応答が起きにくいです。そこで我々はグリオーマがん幹細胞が有する免疫抑制機序の解明ならびにグリオーマがん幹細胞を標的とした樹状細胞治療の開発を目指して基礎研究を行っています。

脳腫瘍の再発予知と予防薬の開発

脳腫瘍に対する新たな化学療法剤の開発が望まれています。がんの発生、再発、かつ治療抵抗性の根源として、がん幹細胞の存在が提唱されています。我々は、グリオーマや転移性脳腫瘍の病巣からがん幹細胞を樹立し、新しい分子標的を発見しました。そして、その分子標的の作動薬から、がん幹細胞の増殖を抑制できる薬物を創り出しました。脳腫瘍の病態モデルマウスを用いて、新薬を最適化した、これまでにない作用機序の抗癌剤を開発しています。また、新しい分子標的のモノクローナル抗体を作製し、がん再発を予知できる体外診断薬を開発しています。

二分脊椎症の予防法の開発

二分脊椎症は先天性の異常です。その中でも脊髄髄膜瘤は、脊髄の異常に伴う下肢の運動機能障害、排尿排便機能障害、水頭症、キアリⅡ型奇形を合併し、生涯にわたる医療ケアを要する難病です。母体による葉酸の摂取が、二分脊椎症の発生率を低減させることは知られています。しかしながら、葉酸を適切に摂取しているにも関わらず、二分脊椎症をきたすことがあります。我々は、二分脊椎症の患者の全ゲノムを解析し、関連する遺伝子の変異を見いだしました。そして、遺伝子変異が細胞の機能に影響していることを明らかにしています。その機能低下を回復させることができる薬物を探索し、二分脊椎症の予防法の開発を目ざしています。

脳形成障害の原因となる遺伝子解析

乳児期に発見される脳室拡大、小脳形成異常、脳梁形成障害、皮質形成障害などの脳形成障害は遺伝子の病的変異が関与している可能性が高いと考えられています。その変異を特定するのはエクソンだけの解析では不十分で、イントロン領域や染色体異常の解析も可能である全ゲノム解析を実施するのが理想的であると考えられています。近年全ゲノム解析を実施するための費用と時間が劇的に低下してきており、実臨床で有用なものとなってきていルのを受け、当院にて遺伝子の病的変異がこれまで明らかでなかった脳形成障害を有する症例に対し全ゲノム解析を実施し、遺伝子の病的変異を複数同定しています。これらの遺伝子変異の機能解析を細胞レベル、さらにはゲノム編集動物作成により形態異常が発生するメカニズムを解明していきます。

連絡先

〒573-1010 枚方市新町二丁目5番1号
関西医科大学 脳神経外科学講座
電話 教授室 072-804-2776(ダイヤルイン)
FAX 072-804-2502

関連

医学部 脳神経外科学講座
大学院医学研究科 医科学専攻 脳神経病態治療学

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