乳腺外科学
現在の研究テーマ
乳がん免疫微小環境の解析
がん細胞は、自身の免疫原性を変化させることやがん微小環境において免疫寛容を誘導することで、生存・増殖しています。乳がんは免疫原性のある腫瘍であり、腫瘍免疫を活性化することによって、免疫系によるがん細胞の排除を誘導できる可能性があります。私たちは、乳がん微小環境における免疫応答の動態を明らかにし、これを効率的に活性化する治療法の開発に取り組んでいます。
遺伝性乳がん診療プログラムの確立
全がんの5-10%が、遺伝に伴って発症するといわれ、とくに、BRCA1 およびBRCA2という2種類の遺伝子に変異のある場合には高率に乳がんや卵巣がんが発症することが知られています。この遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC: HereditaryBreast and Ovarian Cancer Syndrome)の患者さんおよびその家族に対しては遺伝カウンセリングを通して、希望者にはこの遺伝子検査を行い、変異陽性患者に対しては適切な治療やその家族に対してサーベイランスを行う必要があります。本学附属病院はBRCA遺伝子検査機関であり、BRCA1/2変異陽性者に有用とされるMRI検診や、リスク低減卵管卵巣摘出術(riskreducing salpingo-oophorectomy:RRSO)やリスク低減乳房切除術(risk reducing mastectomy: RRM)など本疾患に対する一連の診療プログラムの確立に取り組んでいます。
手術シミュレーション方法の開発
関西医科大学には医科大学でもトップクラスの345㎡という広い空間に、100種類以上の機器を保有するシミュレーションセンターがあります。腹腔鏡手術などの高度な技術を必要とする手術のトレーニングを行うとともに、より効果的なシミュレーション・トレーニング方法の開発も行っています。また、医学生に実際に近い手術手技を体験してもらうことで、スーパードクターと呼ばれるような外科医を目指す医学生が増えることも期待しています。
研究業績