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学部・大学院

上部消化管外科学

現在の研究テーマ

切除不能進行再発食道癌に対する免疫化学療法および免疫併用療法の効果予測バイオマーカー探索研究

切除不能進行再発食道癌に対する免疫療法と化学療法の併用療法(FP+Nivolmab or Pembrolizmab)および免疫併用療法Ipilimumab+Nivolmabが保険収載され、これらの患者さんに対する治療戦略が大きく変わることとなりました。一方で、これら免疫療法の治療効果や有害事象の発生は予測できない状態であり、適正な治療法の選択ができていないのが現状です。そこで、多施設共同でのこれら複合免疫療法の治療効果・有害事象の予測マーカー探索の前向きコホート試験を行っております。

今後、食道癌治療における主軸となる可能性が高い治療法であり、効果予測が可能になれば食道癌治療戦略において大きな進歩になります。

食道癌術前化学療法時の新規支持療法の開発

切除可能な進行食道癌における標準治療は術前化学療法+外科手術とされています。術前に化学療法を加えることにより、全身に潜んでいる癌細胞をいち早く消失させることが可能となり、治療成績は大きく向上しました。一方で、化学療法による有害事象から身体機能の低下を起こす患者さんが多く、その場合には手術治療の合併症や術後の予後にも悪影響を及ぼすとの報告がなされるようになり、術前の化学療法中の栄養運動療法をはじめとする支持療法の重要性がますます重要になってきております。そこで、リハビリテーション学部との共同研究で化学療法中の新規支持療法の開発を行っております。現在多施設共同の前向きランダム化比較試験の計画しております。

CRP遺伝子多型と食道癌リンパ節転移に関する多施設共同後ろ向き観察研究

食道癌は早期の段階からリンパ節転移を起こしやすく、悪性度の高い癌とされています。しかし、食道癌のリンパ節転移には患者さん自身の生体反応によって大きな個人差があることが分かってきました。この個人差(遺伝子多型)による食道癌リンパ節転移診断を行う研究を行っております。現在、秋田大学医学部付属病院を中心として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構より委託を受け、全国の食道癌の主要施設とともに観察研究を行っております。当院もその主要施設として参加しております。
今後、食道癌における新たな手術術式の開発や手術を回避できる患者さんの選別などにつながる大規模な試験になります。

高度進行食道癌に対する集学的治療法の開発

食道癌は気管や大動脈といった重要臓器に浸潤を認めることが多く、切除不能として緩和的治療を行われ、日本の多くの施設では「手術はできないので、根治は諦めてください。」と言われてしまうことが多いのが現状です。こういった高度に進行した食道癌に対して、近年有効性が示されてきている化学療法(DCF療法1, 2, 3)や化学放射線療法を組み合わせることで手術が可能になることが多くなってきました。現在、これら化学療法や化学放射線療法の有効性を検討した臨床試験(T4食道癌に対する導入DCF療法vs FP-RT療法:JRCTs051180164)を行っております4。
また、これら集学的治療を行った後も癌が気管や大血管への浸潤が消えていない場合にでも、手術で大血管や気管を合併切除することで根治できる場合もあります。当院では積極的にこのような患者さんに対して根治を目指した手術を行ってきております5, 6
1: Yamasaki M, et al. Oncology 2011
2: Yamasaki M, et al. Annals of Oncology 2017
3: Sugimura K, Yamasaki M, et al. Annals of Gastroenterological Surgery 2020
4: Sugimura K, Yamasaki M, et al. Annals of Surgery 2021
5: Yamasaki M, et al. Disease of Esophagus 2020
6: Yamasaki M, et al. Esophagus 2021

胃癌診療の質と治療成績の向上を目的とした多施設共同臨床研究

胃癌患者さんに元気な体に戻っていただくために、胃癌診療の質と治療成績の向上を目指しています。そのために薬物療法と外科手術を組み合わせた集学的治療の開発や術後後遺症に対する治療方法の開発を多施設共同臨床研究で行っています。また、手術できないほど進行した胃癌患者さんや再発した胃癌患者さんに対しても、免疫チェックポイント阻害薬などの新規化学療法薬剤の開発を関西医科大学附属病院がんセンターと一緒に多国籍多施設共同臨床研究で行っています。

肥満・糖尿病に対する減量・代謝改善手術の開発

食生活の欧米化や社会的ストレスの増加に伴い日本でも肥満割合は増加傾向にあります。そして、肥満による糖尿病も増加傾向です。日本ではあまり知られていませんが、肥満や糖尿病に対する手術があります。腹腔鏡下スリーブ状胃切除やスリーブバイパス術などの減量・代謝改善手術です。関西医科大学附属病院は日本肥満症治療学会の肥満症外科手術認定施設になっており、安全かつ効果的な減量・代謝改善手術を実施するとともに、多施設共同研究でより有効な減量・代謝改善手術を開発するための研究を行っています。

手術シミュレーション方法の開発

関西医科大学には医科大学でもトップクラスの345㎡という広い空間に、100種類以上の機器を保有するシミュレーションセンターがあります。腹腔鏡手術などの高度な技術を必要とする手術のトレーニングを行うとともに、より効果的なシミュレーション・トレーニング方法の開発も行っています。また、医学生に実際に近い手術手技を体験してもらうことで、スーパードクターと呼ばれるような外科医を目指す医学生が増えることも期待しています。

連絡先

〒573-1010 枚方市新町2丁目5番1号
関西医科大学 医学部 上部消化管外科学講座

関連

医学部 上部消化管外科学講座
大学院医学研究科 医科学専攻 上部消化管外科学

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