老年看護学領域
老いを学ぶことから生きる意味を探る “人生の最期のときまで生ききる”ことを支える看護
■領域概要
老年看護は、加齢に伴う体や心の変化を理解し、支援しながら、高齢者一人ひとりの状況に合わせて「その人らしい暮らし」を支える看護の専門分野です。
日本は世界でもトップレベルの超高齢社会であり、病院や介護施設だけでなく、在宅や地域で生活する高齢者のケアは、今後ますます重要になります。元気な状態から、人生最期のときまでを支援するため、幅広い知識、理解力、推察力、さらには多職種で支援するための協調性、適切に伝達する能力が求められます。
本学の老年領域では、高齢者の生活に合わせた医療・看護の在り方を追求し、高齢者の多様なニーズに対応できる専門的知識と看護技術をもった老年看護実践者の育成をめざします。
博士前期課程では、老人看護専門看護師コースと研究コースの2つを開講しています。既存の高齢者ケアに疑問を持ち、高齢者ケアのあり方を変えていきたい、変えるための研究に取り組みたいという方を募集しています。
■研究テーマ
老年看護学領域では以下の研究に取り組んできました。
- 認知症症状を軽減するケアのあり方
- 認知症の人とケア専門職の視線分析
- 高齢者のpeaceful end of lifeにむけての看護
- 高齢者の生活の質を高めるための高齢者同士のネットワーク構築
ユマニチュードというフランス発祥のケア技法や、不同意メッセージという概念を用いて、病院や介護施設などの場で生じている“関係性”から生じる認知症症状の軽減を目指す研究
認知症が進行すると注意力が散漫になるため、目を合わせたまま話しかけることで、話し手に注目してもらうことにつながり、理解力が高まる。ケア専門職の視線を分析する他機関共同研究
長い人生におけるライフサイクルの最終ステージを穏やかに過ごすための病院、自宅、施設等、さまざまな場所での看護に関する研究、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)に関する研究
地域高齢者同士のネットワーク構築の支援をすることをきっかけとして、互助的にSNS等を用いてコミュニケーションをとり、ともに健康活動・社会活動を行うことを目指す研究
■看護学部の授業風景
高齢者の理解が深まるよう、高齢者疑似体験を行っています。
伊東美緒教授
少子高齢化が進む我が国では、医療や介護が必要な高齢者に対応するために、幅広い知識に基づいて、臨機応変に対応することが求められます。なかでも、認知症の人の数は2060年まで増加し続けると予測されており、認知症の人が医療や介護を受ける際に安心してもらえるかかわり方を考案し、認知症の人、家族そして医療・ケア専門職の負担を軽減するコミュニケーション技術を探求したいと思っています。
研究活動は、不同意メッセージという概念や、ユマニチュードというケア技法を用いた研究や、認知症の人のケアをする際のケア専門職の視線分析、また高齢者のエンドオブライフに関する研究に取り組んでいます。国内外の研究者との共同研究を行っています。
金原京子講師
施設における看護と介護の職種間連携をテーマに取り組んできました。現在は、近年、入所者数が増えてきている介護付き有料老人ホームにおける看取りの支援に関しての研究を進めています。また、認知症ケア学会の地域部会委員を務めながら、会員の皆様と供に、よりよい認知症ケアへの模索を続けています。高齢者やご家族への支援・看護について様々な角度から検討していきたいと思っています。
*詳細は、researchmapをご覧ください。
伊坪恵助教
臨床では急性期病院に老人看護専門看護師として勤務していました。病院に入院すると高齢者はせん妄や認知症BPSDを発症しやすいため、その予防や、発症時の対応および教育を主な活動としていました。臨床での経験を大学での実習や演習で活かし学生さんとともに高齢者ケアについて考えていきたいと思っています。
また、入院中のケアだけでなく、地域で暮らす高齢者が、住み慣れた街で、少しでも長く望む生活を送ることができるような支援(フレイル予防)についての研究を考えているところです。
*詳細は、researchmapをご覧ください。
連絡先
■看護学部
〒573-1004 枚方市新町2-2-2
関西医科大学 看護学部
TEL 072-804-0101(代表)
■看護学研究科
〒573-1004 大阪府枚方市新町2-2-2
関西医科大学 大学院 看護学研究科
TEL 072-804-0205、072-804-0207(事務室直通)
E-mail nursing@hirakata.kmu.ac.jp (事務室代表)
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