心臓血管外科学
より高度の心臓血管外科手術を目指して
1956年、初代教授として香川輝正先生が胸部外科学講座を開設しました。 教授以下、助手1名という最小人数で、最小限の肺切除用器械と旧式の麻酔器1台で手術を開始。1961年に待望の人工心肺装置を入手し、62年から63年にかけて3例の開心術が行われました。この当時から心臓・血管・肺・縦隔・食道の外科治療を目指したとの記載があります。1990年、今村洋二先生が第2代教授として就任。1998年(平成10年)には講座名を胸部心臓血管外科学講座に変更しました。2009年4月から、湊直樹教授のもと臨床、研究、教育の面で新たな展開をみせています。大動脈瘤へのステントグラフト治療や弁膜症に対する小切開開心術(MICS)なども含め、附属病院、総合医療センターの2病院で虚血性心疾患、弁膜症、大動脈疾患に対し臨床・研究・教育活動を行っています。
現在の研究テーマ
1.冠動脈形成(内膜摘除、onlay grafting)後の冠動脈favorable remodelingおよび内膜再生機序の解明
2.3D血流解析による至適吻合部形態、人工弁輪、形成術式の妥当性評価、心室形態と拍出効率、末梢血管リザーブによるグラフト開存性の検証 等
バイパス困難症例に対する「内膜摘除+onlay grafting」等の冠動脈形成術後、遠隔期に形成部の良好なremodelingが起こります。すなわち、グラフトで拡大され、内膜摘除により粗雑化した内腔が、遠隔期になるとnativeの冠動脈と同径化、平滑化し、一見正常化するような現象があるのです。OCTで冠動脈壁を観察すると、新たな内膜が形成されていることがわかりました。このfavorable remodeling現象をもたらす内膜再生機序に関する臨床研究を行っています。
研究業績