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理事長・学長挨拶

附属光免疫医学研究所開設にあたって

 関西医科大学は研究力の更なる向上のために、1つの領域で「世界でonly oneかつnumber one」となる最先端医学研究所構想を温めてきました。この度、この構想にまさに一致する小林久隆氏という人材と光免疫療法というテーマを得て、2022年4月1日に「関西医科大学附属光免疫医学研究所」を開設いたしました。

 「光免疫療法」は、第5のがん治療法として世界的にも注目されており、多くのがん治療法に寄与すると期待されています。この療法の研究拠点を国内に設けることは、本学のみならず医学界の発展にとって非常に有意義であることは言うまでもありません。研究所長には、「光免疫療法」を開発した米国NIH主任研究員の小林久隆先生を招聘し、本学特別教授にも就任いただきました。小林先生を筆頭に、3つの研究部門に約30人もの研究スタッフが勤務する国内屈指の研究拠点となります。同研究所の研究が、遠くない将来、がん患者さんの多くに喜ばれる治療法に生まれ変わっていることを期待しております。

 このように本学は、がんに苦しんでおられる一人でも多くの患者さんを救うため、小林先生と共に日々「光免疫療法」の研究と実用に向け推進していきます。また、それらの情報を積極的に発信していきたいとも考えておりますので、今後の研究にご期待ください。

学校法人関西医科大学理事長 山下敏夫

学長メッセージ

 ご存じのように、がん治療は手術、放射線、化学療法の3本柱でしたが、長年の基礎的研究をもとに、次々と分子標的薬、抗体医薬、免疫チェックポイント阻害薬が開発されてきました。光免疫療法は、小林先生の放射線科医としての専門性(イメージングと治療)と、高校生のときから培ってきた化学への強い興味を背景に誕生しました。「生体の窓」と呼ばれる組織通過性の高い近赤外線と抗体医薬の組み合わせに着眼し、近赤外線でスイッチONになる化合物を探索する過程は、基礎と臨床の視野の広さと粘り強い探求心が実を結んだ非常に良い例だと思います。

 光免疫療法のきもは2段階で作用することにあり、がん局所に近赤外線を照射することによってがん細胞を急速に死滅させる第一段階、破壊されたがん細胞からがん抗原が放出され、活性化したがん特異的免疫によって残存したがん細胞に対して攻撃がおこなわれる第二段階でさらにがんを攻撃します。したがって、原理的には転移がんや、免疫記憶による再発防止と一石二鳥、三鳥の効果が見込めるわけです。さらに制御性T細胞に対する抗体を併用し、局所の免疫を操作することによって第二段階をブーストすることも可能になってきました。

 今後、頭頚部がんから適用拡大をすすめると同時に、それぞれの段階を深く掘り下げ、より患者さんへの負担が軽く、もうがんを心配しなくてもよい、効率的な次世代光免疫療法が、この研究所から誕生することを期待しています。

学校法人関西医科大学学長 木梨達雄

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