3学部合同座談会
看護学部 × 医学部 × リハビリテーション学部が連携できるのは、医療系複合大学ならでは。
本学では、他学部との合同授業を通し、互いの役割を尊重・理解することで医療に関する幅広い視野を育成するため、看護学部・医学部・リハビリテーション学部の学生たちが早期から協働・連携。医療現場の実情に即したチーム医療を実践的に学びます。
一年次の授業で、看護学部と医学部生、リハビリテーション学部の学生がグループメンバーとなる小グループで、事例を用いながら提示された課題についてディスカッションを繰り返し、その内容を各グループで発表する合同授業を展開します。これらの授業を通して、看護学と医学という互いの専門性を活かしながら、お互いの責務や役割を理解し協働する職種であることを自覚し、学びを深めていきます。
ここでは、学生と教育センター西屋センター長とでその授業を振り返って、トークしてもらいました。
ホンネ座談会
関西医科大学 教育センター 西屋 克己センター長
【看護学部】
【医学部】
【リハビリテーション学部】
作業療法学科 3年次 稲垣 千明さん
それぞれの学部から、いろいろな視点の意見が聞けて良かった。
西屋先生 : 今日は3学部の皆さんに集まってもらって、1年目の春に行った多職種連携教育の授業について感想をうかがおうと思います。どうでしたか?
【医】小山さん : 医学部の人は基本的に患者さんをみる時、いちばんは病気を治すことと思っている人が多いと思うんですけど、看護学部やリハビリテーション学部の方の意見を聞いて、いろいろな視点から考えることができたのが良かったです。
【看】西奥さん : 初めて医学部の人とリハビリテーション学部の人と話して、看護学部の人だけと考えるより、違った意見がいっぱい出ておもしろかったです。自己紹介とかの時間もとってもらえて、意見の言いやすい雰囲気を作ってもらえました。
【リ】松田さん : ある一つの症例に対して、自分一人で思いつかないような意見を、看護学部と医学部の人から聞くことができて良かったと思います。
看護学部の人は、患者さんの背景や病気のその先まで見ていると思った。
【医】吉田さん : 看護学部とリハビリテーション学部の方は、病気だけじゃなくて、まず患者さんを一人の人として認識して、その人の背景まで見てる感じがします。医学部が対処する病気の先まで見据えているというか、そんな意見がとても有意義に感じ、コミュニケーション能力の向上にもつながったと思います。
【看】河居さん : 現場では“チーム医療”が大切だと授業では言われてきたのですが、一人の患者さんとそのご家族に対し、どんな方針でケアを提供するのかを他の学部の人たちと話し合って考えていく…こういうことが“チーム医療”なのかな?って。そんな体験が、すごく良かったです。
【リ】稲垣さん : それぞれの学部の皆さんの考え方は、途中で相違点もあったんですけど、最終的には思っていたよりも早く、同じ目標に辿り着いて。3学部で話し合えば、より良い方向性が導き出せると思いました。
西屋先生 : それぞれ、いろいろな感想がありますね。では、授業の事例で、翔馬くんというユーイング肉腫でターミナルステージの子どもさん、覚えてます?翔馬くんが、ちょっと自暴自棄になって「おうちに帰りたい」って言ったら, どんなサポートができますか、という議論がありましたね。
【医】吉田さん : 僕の班では、翔馬くんの意見を尊重し、家に帰してあげるか、家の雰囲気を病院で再現してあげるか、どっちがいいのか議論をしていました。
【看】河居さん : うちの班では、おうちに帰りたいっていう意見を優先し、訪問看護や在宅ケアを進めていく方向で、医師やリハビリテーションの方と相談して、なるべく在宅で終末期のケアに携われる工夫をするのがいいのでは、となりました。
【リ】稲垣さん : 私の班は皆さんと少し違って、帰してあげたい気持ちはあるけど、帰せない可能性の方が高いのでは、という結論でした。
より良い訪問看護や在宅ケアも、チームでの連携が大事だと知った。
西屋先生 : いろいろな考え方がありますね。高齢者の方なら最期はおうちっていうのは受け入れやすいけれども、子どもさんの場合は、おうち=治療をあきらめるという意味合いになる可能性もある訳で。そんな難しい事例を、低学年のうちから考えてほしいと思うんですね。こういう授業は、医療人になるためにどう役立つと思いますか?
【医】吉田さん : “医師中心の治療法” ではなく、他の職種と連携すれば、より良いチーム医療を患者さんに提供できるのかな、と考える機会になりました。
【看】河居さん : 医療系で3学部が揃っている大学だからこそ、それぞれの職種の観点からお互いに提案ができて、つねに患者さんのために何ができるのかをみんなで考える、という経験ができたと思います。
西屋先生 : それぞれの視点から、患者さんのために意見が言えることが大切ですね。一歩下がってしまうと、結局は患者さんのためにならないこともある。この授業で得た、しっかり議論する大切さを、現場に出た時に生かしてもらいたいですね。
仮想シナリオを用いた授業を振り返って。
■患者さん : 翔馬くん(9歳)
■病気の設定 : ユーイング肉腫(小児がんの一種)
■ 経過 : 治療の効果が認められず終末期の状況。「しんどい! 家に帰りたい!」と苛立っている。
■ 課題 : 医師・看護師・理学療法士・作業療法士の各立場から事例における問題点を挙げる。経過を踏まえて合同カンファレンスを開き、翔馬くんにどう説明をして対処すべきか、などを話し合う。