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地域生活援助論実習Ⅰ(2年次)

本学附属医療機関などの近隣で行う実習とは別に、日本各地に一週間ほど滞在して保健所や市町村の保健センターなどで学ぶ実習があります。

キャンパスのある枚方とはまた異なる環境の住民の生活状況とヘルスニーズとの関連を学ぶことで、地域の特徴に合わせて展開される保健医療福祉活動を理解。社会の多様な健康課題に対応しうる保健および医療・福祉の連携を推進する保健師の養成を目指します。

※実習施設
秋田市保健所・秋田市保健センター
足利市保健センター
岡山県美作保健所勝英支所
岡山西粟倉村保健福祉課
岡山県奈義町保健相談センター
高知県福祉保健所
中芸広域連合保健福祉課
香南市健康対策課

今回のレポートは

本実習は、秋田県、栃木県、岡山県、高知県の実習施設にて行いますが、今回は、岡山県西粟倉村での実習をレポートします。

西粟倉村は、岡山県の北東端に位置する、鳥取県と県境を接する人口1,400人程度の村。 「生きるを楽しむ」を村のキャッチコピーに掲げ住民の健康づくりにも積極的に取り組んでいるほか、面積の約95%を占める豊かな森を活かした「百年の森林(もり)構想」、地域起業支援事業である「ローカルベンチャースクール」など独自の地域活性化施策を行っています。

STEP1 実習地の地域診断・実習オリエンテーション

事前学習では、「コミュニティ・アズ・パートナーモデル」※1に基づいて実習地域の情報収集とアセスメントを行います。
地域の特徴から予測されるヘルスニーズを抽出して、実習中に現地における情報収集の内容や観察すべき点を検討し滞在中の活動計画を立案します。担当保健師等から実習地域の概要や施設紹介、保健医療福祉活動について説明を受けます。

※1 地域を構成する人々と、地域の情報を8つの要素で整理する地域診断の方法。地域全体を包括的な視点で捉え、分析から介入、評価までを実践的な過程で示したモデル。



西粟倉村の実習では…

西粟倉村の担当保健師から、地域の特徴、住民の健康課題などについて、説明を受けました。
西粟倉村では他の地域と同様に高齢化が進んでおり、「生きるを楽しむ」のキャッチコピー実現のためにも健康寿命延伸を実現できるような保健医療活動を進めていることや、喫煙率の高さや生活習慣病などの健康課題をふまえ、今後は高齢者以外にも中間層の住民の健康維持のための活動にも今後は力を入れていくといった村の取り組みが紹介されました。

(写真:西粟倉村担当保健師からのオリエンテーションの様子)

STEP2 地区踏査と事業への参加

各地域の宿泊施設に滞在し、保健所や保健センターでの保健医療福祉活動への参加・見学を通して、地域の特徴と保健師活動を学びます。
また実習地の地区踏査を行い、事前学習で得られたデータやヘルスニーズを振り返りながら、生活と環境や、文化的特性と健康との関連について理解を深めます。



西粟倉村の実習では…

地区踏査:

「地区踏査」は、住民が生活している住宅や街並み、暮らしぶりなどを実際に観察し、生活する方の実際の生活環境や買い物の便や道路の状況などを実際に体験する方法です。
西粟倉村でも学生たちが実際に地域を歩いて人々の生活環境を自分の眼で観察しました。山間の町を歩きながらお店や医療施設の数が限られており自動車がないと不便であることなど、大学のある枚方市との違いを体感しました。また、事前学習において自分たちで調べた健康課題と生活環境との関連性を考察しました。

(写真:西粟倉村を実際に歩いて行った地区踏査の様子)


保健医療福祉活動への参加:

西粟倉村役場で実施されている「であい茶屋」に参加しました。これは、週に1度、地域の高齢者の方が集まる交流の場で、健康状態のチェックや昼食の提供、体操などが行われています。
学生たちは、ボランティアの方とともに血圧や体重測定などの健康チェックの実施や食事提供の準備に参加しました。また、活動の中で学生は利用者の方にもお話をうかがい「通いの付添があって行くことができるため助かっている」など村の取り組みに対する実際の声を伺うことができていたようでした。

(写真:村役場で行われた高齢者サロンで健康状態のチェックに参加)


STEP3 地域の特性を踏まえた保健師活動に関する学びのまとめ

地区踏査や事業への参加、住民の方々との交流を通して学んだ内容を、教員指導のもと学生間で共有。
実習地の特徴を踏まえた保健医療福祉活動と保健師の役割について報告し、指導保健師から助言を受けます。
各実習地域での学びをレポートとしてまとめます。




西粟倉村の実習では…

実習中も毎日活動後に、学生・指導教員間でディスカッションし学びを深めたうえで、村の指導保健師の方に報告しフィードバックを受けました。

現場の保健師の視点や考え方を改めて考察し、これまでの実習などで携わってきた枚方市と大きく環境が異なること、人々の生活や健康にはその居住地域の文化・生活環境の影響が大きいことを改めて実感し、地域の特徴に応じた保健医療活動を展開する保健師の役割について理解を深めた様子でした。

(写真:活動後にはディスカッションを行い実習のレポート作成)

NEWS!!

学会で報告しました!
最終レポートの内容について、KJ法を用いてまとめ、「統合カリキュラム2年次生の遠隔地における保健師活動と地域の学び」と題し、第26回日本地域看護学会(2023年9月2日(土)~9月3日(日)開催)にて発表しました。

森田理江,光井朱美,田中規子,堀内寿美子,海原律子,大川聡子,中原洋子,上野昌江, 統合カリキュラム2年次生の遠隔地における保健師活動と地域の学び, 第26回日本地域看護学会