研究科長メッセージ
「フィジシャン・サイエンティスト」を目指して
大学院医学研究科長
金子 一成
皆さんは「フィジシャン・サイエンティスト」という言葉をご存じでしょうか。患者さんを診察しながら研究も行う医師のことで、医療と基礎研究の橋渡し役として医学に革新をもたらす存在と認識されています。しかし昨今の若手医師の臨床志向の高まりとともに、わが国では減少傾向です。大学院で研究をして医学博士号を取得するよりも、臨床医として専門分野での専門医資格を取ることを優先する医師が増えているのです。しかし臨床医として病因の解明されていない疾患、治療法の確立されていない疾患に遭遇した時に、どうしたらいいのでしょうか。病因解明や新規治療法の確立を基礎医学研究者任せにせず、自ら考え、研究してこそ、臨床医としてのレベルアップに繋がるのではないでしょうか。
本学の大学院医学研究科は修士課程と博士課程を擁しています。修士課程は、医学部医学科以外の出身者を対象に、医学に関連する生命科学の基礎、並びに先端医療に関する専門教育を行うことで、それぞれの出身領域・専門領域の知識を有機的に医療に結びつけられる人材の育成を理念としており、修業年限は標準2年です。また博士課程は、主に医師を対象として生命科学の基礎と医療への応用を学習・研究することで、自立して研究活動を行える能力と、指導的立場にふさわしい学識と人間性を養うことを理念としています。修業年限は4年を標準としていますが、フィジシャン・サイエンティストを目指す医師のために5年間の修業年限の長期履修コース(社会人入試)も用意しています。大学病院等で研修医として働きながら大学院での研究もできる制度です。
少子高齢化で疾病構造が変化し、多様性のある生き方が尊重されるこれからの時代は、様々な臨床的課題やニーズが出てきます。それらに対するエビデンスのある回答を得るためには、医学研究を計画・実践できるフィジシャン・サイエンティストや医療従事者が求められるようになります。大リーグで活躍する大谷翔平選手のように、専門職・専門医資格とともに、学位(医学修士・医学博士)も有する二刀流を目指してみませんか。関西医科大学大学院は二刀流を応援します。