大学全体 2019年9月10日
膵がん患者さんに治療への希望を届けるクラウドファンディング、達成
お陰様で目標金額を大きく超えました
本学外科学講座里井壯平診療教授が主導して行った、腹膜転移の膵がんに対する新たな治療法の臨床研究経費をまかなうためのクラウドファンディングが9/8(日)23時に終了し、当初目標金額の1,000万円を大幅に超える寄附が集まりました。
寄附受付開始から多くの方々にご寄付いただき、早々に目標金額を達成。今後は、皆様からの寄託に応えて一日も早い臨床研究の開始と厳正な結果検証を進め、効果性の実証と保険収載への働きかけを行って参ります。
なお、今後の臨床研究の流れやお寄せくださった寄附金の使途内訳などは下記のとおりです。
この度はたくさんの篤志を本学の研究にお寄せくださり、誠に有難うございました。心から厚く御礼申し上げます。
臨床研究の流れ
- 【臨床試験概要】
- 患者さんの募集開始時期:未定
現在本件臨床試験の試験計画書の修正作業中で、今後先進医療会議に諮り、認可後に試験を開始する予定です
※臨床研究及び参加希望患者さんの募集開始については、改めて本学Webサイトにて告知いたします。
- 【登録から治療決定までの流れ】
- 他臓器転移がなく、腹膜転移が開腹もしくは腹腔鏡検査で診断され、患者さんの同意が得られれば登録を行い、データセンターで試験治療か標準治療かを決定します
- その後、各施設で化学療法の準備が整い次第、治療を開始します
- 【応募登録方法】
- 全国各地の協力施設で担当医の診察を受診 ※協力施設・担当医一覧は下記をご参照ください。なお、千葉大学・帝京大学・国立がんセンター中央病院の3施設は効果安全性評価委員施設です。
臨床研究の対象となる患者さん
この試験に参加していただくためには、いくつかの条件が設けられています。そのため、試験の参加に同意をいただいても、条件に合致しないことが分かった場合には、残念ながらご参加いただけないことがありますのでご了承ください。
【試験に参加していただける方の主な条件】
各種検査で切除不能と判断され、遠隔転移の無い患者さんで、審査腹腔鏡検査(腹腔鏡というおなかの中にカメラをいれて転移の有無を調べる検査)や開腹手術で腹膜転移が証明されることが必要となります。
- 年齢が20歳以上80歳未満の患者さん
- 浸潤性膵管がん(通常型膵がん)と診断された患者さんで、審査腹腔鏡検査や開腹手術にて腹膜転移が診断される患者さん(おなかのなかを除いて、腹膜転移が証明された患者さん)
- 今回の臨床試験に参加する前に化学療法を受けていない患者さん。もしくは前化学療法の期間が2ヶ月未満であり、治療開始後に明らかな病気や症状の悪化がみられない患者さん
- 生活が自立している患者さん
- 骨髄・肝・腎・肺などの機能が、検査で問題ないこと
- 食事を食べられる患者さん
- 本人より文書にて同意が得られる患者さん
試験に参加していただけない方の主な条件
- 卵巣以外の遠隔部位(遠隔リンパ節、肝、肺、胸膜、脳、髄膜、骨など)に転移がある患者さん
- S-1またはパクリタキセルの投与禁忌患者さん
- 入院加療を必要とする合併症(腸管麻痺、腸閉塞、間質性肺炎または肺線維症、コントロールが困難な糖尿病、腎不全、肝硬変など)を有する患者さん
- 登録時に同時活動性の重複がん(例えば他部位の進行癌など)を有する患者さん
- S-1、パクリタキセル、ゲムシタビン、アブラキサンと併用できない薬を使用している患者さん
- その他、試験責任(分担)医師が本試験の対象として不適切と判断した患者さん
- 有効なインフォームド・コンセントを与えることが困難であると考えられる患者さん
※その他基準がありますが、診察や検査の結果から担当医師が判断します
ご注意事項
この試験に参加することに同意していただいた場合、「S-1+パクリタキセル経静脈・腹腔内併用療法」と、「ゲムシタビン+アブラキサン併用療法」のどちらかの治療を受けていただきます。どちらの治療を受けるかは、「ランダム」に(50%の確率で)決まります。このような方法を「ランダム化」と言います。
患者さん自身や担当医師が治療法を選ぶと、その意思が影響して比べたい治療法の患者さんの特徴に偏りが生じてしまい、正しい臨床試験の結果を得ることができません。この方法は、どちらが良いかわかっていない治療法を比べるには最も良い方法と考えられており、世界中の臨床試験で採用されています。
寄附金使途内訳
今回お寄せいただいた寄附金は、下記の通り全額を臨床研究とそれに関連する経費として使用します。
SHARE